いい出会いは、探してもダメ待ち伏せしても無理なもの。
だが、時には神の余興と思わせる出会いをする。
散歩の帰り道で、そんな出会いをした。その一景である。
杖をついた妻が夫を支えながら、自分も夫にすがりつきながら歩くこの老夫婦。実に微笑ましい二人を演じている。
現役時代、ドイツ、ケルンに仕事で出かけたその折、暇を見つけ出し初めての街ウィーンに飛んだことがある。
日中は車をドナウ川沿いを走らせ、宮殿も見逃せず市外も隈なく走らせ、さらには、市街も念入りに走らせ、ウィンの人々の日常も覗みる。そんな瞬時を欲しんでの忙しいウィンの旅であった。
だが、そんなせわしい旅ながら、夜は落ち着いたゆるりとしたものにした。コンシェルジュリの力を借り、タキシードの用意がないながらも評判のオペラがかかっていた、あのオペラハウスに向かった。
その後の晩餐の店もコンシェルジュリに任せてみた。彼の選んだ店は、オペラハウスに近くのウィーンカツレツの美味しい店があった。
今、そのレストランで見かけた、幸せな風景を今懐かしく思い出している。
老夫婦の笑が漏れてきた。
笑顔でお互いの手を握り合い、メニューを眺め、今宵の料理を念入りに選んでいた。豊かな老後を仲良く楽しんでいる。周りまでもが笑顔にする風景である。
その微笑ましい幸せな二人の情景に、散歩姿の老夫婦の景が重なり、急いでシャットを押した一景である。
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