古都奈良への車旅の途中にふっと思いつき、久しぶりに、伊勢神宮に足を運んだ。
年に何度か西へと車を走らせているが、その初日の宿は京都か奈良と定めている。だが、気分次第では美味しい魚を求めて伊勢半島に宿を取ることもある。
今回の旅は、遷宮が行われたばかりの伊勢神宮に立ち寄った。
先ずご神前で感謝を祈り、そのあと宮域に久しい時間、身を置いた。
この伊勢神社では紀元前4年の古来、年1500回の祭禮が繰り返され、その都度、その宮域は、神官たちより榊さかき(神の木)と御塩でお祓され清められる。お伊勢さんが、いつ来ても気に満ち満ちた、清浄な気持ちの良い森なのが納得できる。
そうした祭りの中心の祭大嘗宮の儀が、令和の皇位継承の儀式として執り行われ、TVでこと細く解説された。
どうやら、その儀では、皇祖天照大神に日本各地の名産の新穀が供えられ、それを神と共に天皇ご自身も食し、五穀豊穣を感謝し国家と国民の安寧を祈念する素朴な祭祀のようである。
これは、村々での豊作を願っての春祭りと、豊作を感謝しての収穫祭である秋祭りと同じ祭祀である。
日本書紀の記述に、こうある。
吾聞く東に神国あり、日本という。
日本は神の国なのである。
その神とは天照大神で、高天原に聖なる稲田を所有しており、そこで育てられた稲が地上にもたらされたということになる。
日本の古名は豊葦原千五百秋瑞穂国と呼ばれていたように、千年も万年もの秋には、豊かな稲が実る国なのである“。
人の力を超えた自然の力がもたらす、一か八かの運まかせの豊穣を、天皇がひたすら祈る。そんな穏やかな役割を担う象徴を天皇に頂いた幸せな国、日本の話である。
宗教の争いが絶えない世界で、新令和天皇の即位儀式”大嘗祭”の穏やかな、なんとも素朴な祈りの模様が、日本から世界に発信された。
また、東京G7サミットでは、各国の首脳たちが日本の首相に案内され、その伊勢神宮に詣でた。
平和な国の日本は、そうした穏やかな幸せな姿を、機会あるごとに世界に伝え続けるのが良いのである。
そんな役割を担う伊勢神宮と天皇をいただく穏やかな日本、そんな国に住む幸せを噛み締められた幸せな旅となった。
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