一言02。あの富士山を跨ぐ 。

ほんの小一時間を得るために富士山に穴をあける。

なぜ、この国は不合理な巨大プロジェクトが暴走してしまうのか。

まだ、息子たちが育ち家を飛び出す前、一家でニュージランド全長約54kmを3泊4日かけて歩くルートバーン・トレッキングに出かけたことがある。

その折、見かけた鉄道も高速道路も決して近道のトンネルを掘らず、遠回りして山の麓に沿い走していた。

こんなことをついつい思い出してしまう、今回の超電導リニアプロジェクトの静岡問題である。

この超電導リニア中央新幹線は南アルプスをトンネルで通過し、富士山の地中深い豊かな水路を跨ぐ必要がある。どうやら、その影響が不確定で無視できないと静岡自治体からの問題提起であるらしい。

このプロジェクトの着想から既に30年を越すのではないだろうか。

その当時と今では、とんでもなく科学技術は進化を遂げている。それに、今回のコロナ禍が提起した社会の有り様、特に仕事の有り様の変わりよう。

“もっと速く快適に、自然への負荷がない移動ができる” 空飛ぶ車という新しい手立てが、もう目の前にある。それに、リモートワークが日常化し、移動することの必然性が問われ始め“ビジネスでの移動が激減する”問題も加わった。

どうやら、リニア中央新幹線構想の背景には、速く走るニーズに対応する以外に、もう一つ、現状の新幹線の老朽化があるようだ。

だが、発想を得た時期とは事情が大きく変わった。

既に、日本は人口が減少の途上にあり、その一方で、日本列島は計り知れない自然破壊の危険を孕む状況。熱帯化が進み、大雨、激しい風は毎年日本列島を襲う。富士山の大噴火を伴う大地震も待ったなしである。

そんな中でのこの騒動。なんとも、馬鹿げたものに見える。撤退に何の躊躇がいると言うのだろう。損得計算なら、大きな損得を考えるべきであろう

ここは、将来を見据えた上で、現存の東海新幹線インフラの大補強と発想の転換が順当であろう。

ビジネスニーズには、今の新幹線車両を移動の時間を有効利用でできるよう、リモートワークが出来るオフイス専用車両の開発である。観光客ニーズには、既に、ローカル線では実績を上げている観光専用車両を用意すれば良い話である。

それに乗降客数の激減には夜中には貨物列車を走らせ、異常に増え始めた貨物需要に舵を切れば良い。米国、ヨーロッパ大陸では100両近い貨物列車を走らせている。

老い先短いながら暇をもて余す、世間から隠れ生きる浅学無知な老人の戯言、独り言である。

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