一幸11。異常さえも楽しむ。

この旅で、いよいよ、恐れていたことが起こった。

昨夜、3人で出かけた台湾ゴルフツアーから,3人でなく2人で戻ってきた。この10年、恒例になっているタイ、台湾でのゴルフツアーからである。

仲間の一人が機中で意識を無くし倒れたのである。4人ものキャビン・アテンダントが駆けつける一大事になった。

機内放送で呼びかけに応じた医療関係者は消防救急士のみで、打つ手がなく、まだ、台北松山空港まで一時間半の所での発病であった。

だが、やはりである。生命力旺盛なる我が友は,20分後目を開け生還したのだ。

到着と同時に空港近くの緊急病院に搬送され 数種の精密検査を受けた。血圧が高め、それ以外は正常との検査結果であつたが、彼はこのツアーは当然諦めるべきとの判断で、翌日の便で一人帰国をすることなった。

 “薄情ね。なぜ一緒に帰らないの。”

との奥方達の誹りが、一瞬聞こえた。空耳と無視したのは当然である。そこは、つれない我ら二人、情に流されず 出来ることなしとの結論を、冷静にかつ理性的に瞬時に下し、ゴルフツアーは当然のごとく続行した。

いよいよ、我らは、未だ経験したことのない未踏の領域に入った。老いたのである。この厄介な老いと日夜付き合わねばならない。それも「巧みに上手に」しかも「幸せに」である。

言ってみれば、我ら老人は、これからは異常が常態である。健康を精一杯図るが、しかし、どこかで異常が確実に忍び込む。この事実は避けられない。

ここは異常すらも楽しむ心がけが肝心。異常すらも幸せとしてしまう。そうした達観も幸せを勝ち取る条件でもある

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