いつのもとは、少し違えた道筋を選択したこの朝の散歩。
その散歩で、歴史が滲み出ているビルの横を通った。そのビル、サウジアラビア大使館の片隅には、記念碑“日本国憲法素案審議の地”が人目を避けるように立っている。
このビル、戦後直後の外務大臣官邸跡地である。時の外相吉田茂が、日本国憲法素案についてホイットニー准将らとの審議に、またそれに備えるために、かの白州次郎や同じ志をもつ仲間たちと共に幾夜も夜を徹しての熱い議論を闘わした場所である。
今、遅すぎるきらいある戦後初めての憲法論議が焦点となる選挙が始まっている。その推進者の中心人物、安倍晋三は、満鉄総裁を務め、戦犯に問われ、その後に首相の座についた岸信介の孫であり、もう一人の副首相麻生太郎は、戦中英国大使、戦後に外相、首相を務めた吉田茂の孫である。
この二人の胸中には、間違いなく、祖父たちの日本の創生に果敢に挑戦しながらも挫折した無念の思いが、去来していることだろう。今、その二人は、祖父たちが抱いていた熱い思いに後押しさながら、必死にもがいている。
懐かしい思い出が滲み出ている地で見つけた、幸せな日本の未来に繋がる一景である。
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