一幸22。夜の入り口。

今、どんな時間の中にいますか。

家路につくには少し早い今夕、テラスのあるカフェでのひと時を過ごしている。街並みが墨色に染められる薄暮時、西の空だけが夕日で赤橙色に染まった一瞬が目に飛び込んできた。

“ヨーロッパでは昼と夜のあいだに夕方という、夜の入り口の時間帯があって、この時間を楽しむための文化がある。”と言う。

夕食前のこのひと時を、ウィンドウ・ショピングを楽しむ。気の合う友とお喋りしながら街をそぞろ歩きする。あるいは、バルをはしごする。

なんと大人の時間を過ごしているのであろうか。職住接近という利点があるにしろ、人生を楽しむ大人の術を持つヨーロピアンである。

今宵、私は、旅先のマドリッド・マヨール広場のバルでの思い出に浸りながら、チーズを肴に気張ってシャンペンを片手にしている。 

薄暮の短いひと時、店の前を行き交う人々を見るではなく眺める。胃を目覚めさせ夕食を美味しくための一杯である。

少し気取りすぎだが、一日を幸せに締めくくるには欠かせない気張りである。

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