牡蠣、シーズンインとなる。
すべての魚とは言えないが、寒風吹く季節、“R”のつく月、Septemberから、Aprilは、脂が乗る魚の旨い季節。
この夏の旅、もう2、3日余裕ある旅なら、ロンドン南東部のウィスタブルスターに立ち寄り、ローマ時代にも遡ることができる牡蠣フェスティバルに出かけ、ジャ ズを聴きながら牡蠣をと洒落てみるのだが。
だが、この旅、10日間で英国大陸を駆け抜ける,余裕がないギリギリのスケジュール。立ち寄る時間がない。

だが、この旅も気づくと牡蠣を追いかけての旅になっていた。
ロンドン、オクスフォード、マンチェスター、エディンバラ、ベルファースト、ゴールウエイ、ダブリン、そうして最後の街、カーディフと毎晩のごとく、牡蠣がビールとワインのお供となる。
妻の抵抗が日増しにきつくなるのは、周知の上での、毎宵、牡蠣を求めて街を徘徊する旅となった。
この一皿、エディンバラでの一皿である。
マンチェスターから湖水地方を抜けエディンバラに入る。その折、今宵の宿の近くの坂を少し下がった奥詰まった所で、めざとく見つけた店での一皿である。
私は自慢ではないが鼻がきく。間違いない店を嗅ぎ出す。地ビールで喉を潤し、辛めの少しっかりしたシャルドネを用意する。
大皿に盛られた今宵の牡蠣に多めにレモンを絞りかける。あとは、喉に送り込むだけ。
当然、ここは、牡蠣を食する儀式に従う。
“噛んではダメ 飲み込んでもダメ、舌と上顎のあいだで、
そっと潰す”。
独特のイチゴのような風味が口いっぱいに広がる幸せの一瞬。旨し、美味なる牡蠣なのである。
旅は良いものである。牡蠣も、酔いもある幸せな宵が続く。
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