一景07。Dog’s Domain。

この街、マンチェスターも他の都市と同じように、再開発のただ中にある

宿に向かう道が至る所で閉鎖され、カーナビでの誘導が上手に働かない。だが、何が幸いするかわからないもの。その混乱のおかげで、期せずして街の様子の下調べができ、今宵の飯どころの目処がついた。

あとは少し、そのエリアを歩き鼻をきかせめぼしい店を見つけるだけである。

旅支度を解きシャワーで軽く汗を流したら、いよいよ、今宵の飯どころの幸せな探訪である。

このシーズン、港町、俄然、牡蠣である。

そして見つけたレストラン、今宵は良い夜になると心躍らせたのだが、意外な落とし穴があった。なんと、その店、“現金オンリー”との看板が、これ見がしに入口をふさいでいる。キャシュなどあるはずもない。まさかの事態。すっかり萎える気持ちを奮い立て、未練がましくも、隣の店で良しとした。

だが、また、この店にも立て看板が目立つ所に立っていた。

この店、犬はどうやら歓迎されているようだ。そうして、犬を同伴していない私達も大丈夫のよう。だが犬はよいのだが、連れの“ご主人がよくしつけられてお行儀が良いこと”が、入店の条件のようだ。

ここでは、犬が主人でお供が人間なのだ。

思わず顔が綻ぶ。英国は諧謔心の満ちた一味も二味も違う大人の街なのである。

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