英国では,子供の躾に容赦ない。鞭が尻を打つ。
ましては、犬は犬なのである。保護する相手ではあるが、あまやかしは決してしない。
朝早く、重い歴史背負った街エジンバラを旅立ち、グラスゴーに向け車を走らす。少し、欲張り、今夜の宿を北アイルランドの首都ベルファストにしての早立ちである。
先ずは、ケルビングローブ美術館・博物館。ダリの“十字架の聖ヨハネのキリスト”が、目当て。さすがに早すぎたようである。開館までには、1時間ほどの余裕が出来た。
そこで、さっそく、その公園の丘の上にある、ジェームス・ワット、アダム・スミスなど数多くの叡知を輩出したグラスゴー大学のキャンパスを散歩することにした。
そこで、思わずため息が出る出会い。
“あぁ、敵わないなぁ”の一景、である。
犬を従えた、一味も二味も違う散歩姿の淑女たちに出会ったのである。さすがに、紳士淑女の国での散歩姿である。散歩にもしっかりしたドレスコードがある。犬も、当然、それに似つかわしい犬となる。
日本では、人はトレパンとスポーツ着である。一方、犬は着飾り乳母車にすら載せられる。これでは、犬が散歩し、人が犬のお供なのである。
私も、旅することもそう度々にはならなくなる、そんな日には、犬を従えた散歩を、私の日常、日課にしようと考えている。やはり、砕けたカジュアルな姿では、ダメである。英国紳士の散歩姿を考える。自分が納得いくドレスで、少し気張ってみる。
肘当ての付いたジャケットと軽くネッカチーフを首に巻き、おしゃれな薄いシャツ、帽子も一工夫加えねば。そうして、寒い朝は、スコッチウイスキーをスキットルに忍ばせる。さて、ステッキは?やはり、犬がその代わりだろう。
こうなると、柴犬好きの私ではあるが、やはりそれでは、役不足。日本犬なら、秋田犬か土佐犬となる。
それに、散歩の先がスタバでは少し拍子抜け。ここは皇居まで足を伸ばし、パレスホテルのガーデンテラスのテーブルでのモーニングティーとなる。
いろいろな出会いをしたこの夏の旅であるが、この一景との出会いを密かに期待していたのに気づく。
英国は、成熟した大人の住む豊かな見事な幸せな街なのである。
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