Husband’s Waiting Seat.
アメリカで店先で時に見かけ。アメリカの男も買い物のお供が、どうやら苦手なようであ
御多分に洩れず、私も何か理由をつけ店頭で、手持ちぶたさにでぶらぶらとしていた。だが、今は、食品店での買い物に意外な楽しみを見つけた。
買い物などつまらないものは、女に任しておけとの高飛車なポーズは、今は跡形もない。毎週末、勇んで買い物に出かけている。
買い物は、腕の見せどころ。退屈、暇潰しにうってつけの楽しみとなるどころか、最近は真剣なものになってきている
宰相ウインストン・チャーチルが自らチーズを買いに通った店がある。
“真の紳士はここでチーズを買う”
と言われていた英国最古のチーズ専門店バクストン&ウィツトフィールドの本店、ロンドン・ジャーミンストリート店に自ら出向き買い求めていたと言う。
チャーチルの重い腰をあげさせる“チーズとは?”、その“お店とは?”と俄然興味が湧いてきた。若き時であれば何かと理由を見つけ飛んでいったものだが、今はそれ程の気合がない。
そこで、その日本版を求めネットサフーフィング。見つけたのが、ある評判の高級食料品店。早速、そこを訪れ その評判の秘密を探ってみた。
確かに、それ相応のことはあるが、今の私には過ぎたものと諦め、行き着いたのが今の食料店である。
ダイエットで白米の美味しさから離れて久しい。土鍋を買い、米を選び、水すらも選ぶこだわりの白米を捨ててからの夕食が激変した。
白米を辞めると食卓が俄然レストランのそれに変身する。前菜と主菜。フレンチ・イタリアン店の夕食。
前菜が重要になる。酒のお供である。主役はチーズ。
ブールチーズ、ウォッシュ、エメンタール、パルメジャー ノレチアーノ、ミモレット、スティルトン、
ロックフォール、カマンベールと、きりのない世界。
とにもかくにも旨い。
それに、ハム、サラミ、パテ、チーズ、ドライフルーツとくれば、サーモンか白身の魚のカルパチョ。そうなるとあれほどまでに拘っていた日本酒が食中酒としては甘すぎて合わない。
そこで今はワイン、それもスキッとしたドライなシャルドネを選んでいる。当然、メインは肉が生える。
時に魚も良いが、その調理が和食のそれとは大幅に変わる。
日本風の焼魚ではワインに合わず、煮魚にいたっては、とても味付けの甘みがきつい。そうなると、焼き上げてスープに沈めるか、パン粉にまぶし、こんがりと揚げるかになる。
これが私の買い物への興味を大いに書き立てた。
それまでは、後ろをついて歩くお供でしかなかった私が、大口をたたきはじめ、ときに顰蹙を買っても、懲りずに大いに主張しはじめたのである。
チーズの味もそれに合うワインの味も深いものがあるからこそ、選び工夫する楽しみがある。それを通して店とのつながりが深まり、それはそれでまた別の楽しみが増えるのである。買い物が面白くたのしみなるのである。
We can’t buy happiness.
But you can buy wine (and cheese).
And that’s a kind of the same thing
たしなめられえることのない、静かな凝り方である少し勿体をつけた幸せを手に入れたのである。
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