一幸44。何もしない一日。

外には出たくない。そんな日がある。

それも天気が悪いとか寒いとあれば良く判るのだが、それが何の文句もつけようのない上天気の時に、そんな気持ちになる日がある。

机の上に積み重ねている読みかけの本を取り上げるが、直ぐに閉じ、書棚に目を走らせて、お気に入りの本を見つけ出しはするが、それも直ぐに投げ出してしまう始末。

仕方なく、ソファにもて余した体を横たえ、寝るではなく目を閉じる。

そんな折、日頃呼んでも反応もせず、まして擦り寄りもしない我が家の愛猫が、寝そべっている体の上によじ登ってくる。

あぁ、彼も寂しい。一人ぼっちは、悲しいのであろう。人の温もりが欲しいのであろう。

時には,彼との時間を持たねばと思ったその時、家人の気配を感じたのか、 彼はなに食わぬ顔をしてそうそうに立ち去り、いつもの彼の寝ぐらに戻るのである。彼の照れであり、衿持なのだろ。

幸せな時間の流れる静かな一日である。

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