一景13。二羽の鳩。

都知事から必死のコロナ対策が矢継ぎ早に出される。

そして、先日,いよいよ非常事態宣言、自宅待機の要請である。濃密な接触をする“な”、密閉された空間に身を置く“な”、群れる“な”3っの“な”の徹底要請である。

夜な夜な、怪しげな地下の酒蔵で、大の男が肩を抱き合い大笑して、盃を重ね憂さ晴らし。この悪しき習慣を、この際きっぱりと止めて、疎遠になり危機的状況にある家族の元に即帰し、濃密な家族関係を再構築しろとの、親心溢れるお達しなのである。

今朝、それも人の気配すら感じられない早い朝の散歩の、その折に、皇居のお堀で二羽の可愛い鳩に出会った。

春の清々しい朝の陽光が降り注ぐその下で、倦怠期の夫婦つがいか、それとも、けだるさの残る朝を迎えたカップルか。二羽の鳩が微妙な距離を置いてお堀の水に流れる春の雲を、静かに見惚れていた。

微妙な対人、いや、対鳥距離を保っての朝の一時である。

皇居に住まいをおき、そこに遊ぶ模範的都民ならず都鳥は、見事に都知事の宣言を守っていたのである。

この私も対鳥距離を保ち、そっと忍び寄り消音でのシャッターを押しての、一景である。

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