激変にする本屋の世界で、昔の姿そのままでしっかりと生き残っている店がある。
昨日、神田まつやで蕎麦をすすった後、古本屋街に立ち寄った。旅先の商店街で、見かけるようになったシャッターが降ろされた店もなく、どの店も、ほどほどの人を迎えている様子に、なんだかほっとする。
久しぶりのこと、少し弾んだ気持ちであの店この店と覗き込んでは摘み読みしていた。
ある店で、本を山積みした店先に一人の男が路上に座り込み熱心に本を読み込んでいる姿に出くわした。ついつい、彼がそれほどに興味を引く書籍は?と無礼を承知で覗き見してみた。
梅原猛著精神の発見大著である。
彼は、豊かな社会の恩恵を棄て定住すらも拒み社会からはみ出し、無職でありなが決して他人に依存していない自由人であった。
我らの生活が良い選択とは、一概には言い切れない、そんな気にさせる、食い入るような読み姿であった。
今、ご存知のように、AMAZONやKINDLEの出現が出版業界を激変させている。
それに対応してか、オヤジのハタキが襲った本屋がコヒー片手での立ち読みを歓迎するなど、生き残りを賭けて驚きの大変身ぶりを見せている。
こうした激変する中で見つけた古本街で出会わせたこの風景。
何もかもを新しくさせ、古いものが捨てられるこの世の中だが、決して無くしてはならないものがあるようだ。
そんなことを教えられる,なんだかほっとさせる幸せな一景であつた。
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