一言15。明日が滲み出る朝景。

オバマ元大統領は、スターバックスのCEOシュルツ氏に電話して、スターバックスの売り上げ状況を聞いていた。

アメリカ全土、数千の地域から一日4回集められる店舗売り上げ情報が、大統領が手に入れられるどのデータより,はるかに敏感な景気動向情報だからである。

ゴルフに出かける日を除けば、私の朝は、スターバックスで始まる。このブログも、朝、スターバックスでの決まった椅子で、書かれている。

こう毎朝長年、決まった時間に通っていると、スタバの情景の移り変わりから、いろいろなことが私にも分かり始める。

スターバックスの朝は、若者たちで占められるのは、当然だが,そんな中に、数人ながら目配せし合う馴染みの同胞たちがいる。その一人は、今、私が通う理髪店の競馬好きの親父、彼は毎朝、熱心にスポーツ紙の競馬欄に顔を埋めている。

そう言えば、我が同胞の老人たちは、決まって、少し賑やかな音を立て新聞を広げ、たっぷり時間をかけて読んでいる。それに、もう引退間近な経営者たちも、数紙、脇に抱えていつもの席に着き、新聞を広げている。

当然、若者たちも別の方法で新聞を読んでいる。

スマホの面を忙しく親指で送りながらの情報収集である。それに、この数年、さらに若者たちが早朝のスタバに来始めた。昔、見られた居眠り素早い朝飯食いの姿は姿を消し、寸時を欲しんでの仕事や勉強の若者が増えてきた。

それに、若者たちは早朝から仕事の打ち合わせをこのスタバで、やってのけている。それもPCに向かってのコーヒー片手の会議。さらに、よく観察していると、一人が耳にイヤホンをはめ、英語で議論している。どうやら、もう一人の参加者は海外からの参加の様子。相手に合わせた時間での打ち合わせなのであろうか。

ペーパーレスは当然のことながら、こうなるとオフイスも要らないオフイス・レス。それに、わざわざ海外まで出かける必要もなくなる出張レス。AIでの通訳が入れば言語の壁レス。私が知識でしか知らなかった世界が、もう朝のスタバでは、日常の当たり前の情景なのである。

また、若者たちの勉強姿も昔のそれではなく、みんな決まってPCを前に据えてのものとなっている。そんな姿が少し気になり、覗き見て驚かされた。彼らの PCの画面からは、黒板を背に講師の姿が見られる講義風景、通信講座なのだ。

ふっと、これから、学校はどうなっていくのだろうかと心配になった。通信での教育なら一人の最優秀な先生でよく、それに、わざわざ遠くの学校に足を運ぶ必要もない。

今の知識習得に重きを置く、学校の有り様はどう改革していくのだろうか。それに、生徒それぞれの進行状態に合わせた授業も可能となる。すると、1年ごとみんな同じように学年を進級させる今の制度はどう変更していくのだろうか。

根本的な教育制度の見直しが待ったなしのようである。

将来が不確かな時代、資格が安心と早朝から、会計士、弁護士、医者、不動産士などと資格取得の為の勉強も、AIの出現で果たして、知識の記憶に重きを置く今の資格者たちが、生き残れるのかも、不確かな時代に突入したようである。

今の子供達、若者たちが、どんなに激しい変化の中に置かれ始めているのかと、思わず考えさせられるのである。

スタバの毎朝の情景から色濃くあぶり出されている未来の姿が、オバマ元大統領ではないが、現代の若者たちが、現在の厳しい現実と見通しがつかない、いかにも早い世の流れに翻弄され懊悩している姿が、良く分かるのである。

なんとなく、身の置き場のない気持ちにさせる朝のスタバ情景である。

我らは、のんきな老後を過ごしていている。
毎日が退屈と不平を言えるこの贅沢。若者には、申し訳ない幸せな余生と感謝するが良いのである。

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