一旅17。年一度訪ねる劇場。それは能登半島の七尾にある。

我が家の愛猫は名猫である。

常々は声をあげずに鳴く。だが、朝の“飯”の催促だけは、微かだが、はっきりと聞こえる声で鳴く。この時間が決まって5時と正確だ。

早朝、5時。この時間には家を既に後にしている。この日も、混雑が始まる前の高速道路を快速に飛ばし、既に2時間。いつものSAが見えてきた。

七時にSAでのカフェは動き始める。ようやく、熱いコーヒーにありつけた。軽いストレッチと熱いコーヒーで体を目覚めさせる。

さぁ、ここからが、旅の開始である。

今回、目指す先は能登半島、七尾である。毎年、ぶり便りが聞こえ始める時期に決まって出かける劇場、能登演劇堂に向け、後5時間のドライブである。

仲代達也主宰の無名塾が演じる七尾市の演劇場,舞台の後壁が開閉し野外舞台も設営されることでも有名な劇場である。今から10数年前の2009年、マクベスが演じられた折、馬に跨った仲代達也演じるマクベス将軍がその野外舞台より本舞台に登場、その強烈なシーンが通う契機となっての恒例行事である。

この旅は、舞台がはねる時間が6時過ぎるとなることから、前泊するのを常としている。この旅はこの宿からして定番である。

夕焼けする海を木陰から見通せる小高い丘に立つ小綺麗な民宿がその宿。この日も少し早めに旅を解き熱い湯船にて、長時間のドライブ硬直した体を緩めた。若い女将とコックのオーストライア人の主人が絶妙のコンビで切り盛りしている気持ち良い宿である。

夕食の前の軽いジャズ・セッション、それと美味しいイタリアンと4組の客との軽い会話。いつもの気持ち良い時間が流れる。

お気に入りの夜が待つ宿もある、贅沢な観劇の旅は年一度訪れる幸せである。

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