一幸65。消えた銀座の柳並木。

久しぶりに銀座に出た。

新橋側、銀座通り入り口の角にある佃煮や玉木屋で贈り物を買い求め、その足で銀座本通りに入った。その目の先に新装オープンした天国を見つけ、いつもの天丼を腹具合と相談せずに注文していた。

そうなると、銀座歩きも腹こなしのしっかりしたものになる。

ふっと、柳の新芽が出揃う季節と気づき、目を泳がせ銀座柳を探した。だが、どう探しても馴染みの柳が見つからない。枝に膨らむ芽柳が風に吹かれ揺れているはずのその柳がない。

これは可笑しいとその周辺を急ぎ足で探してみたが、やはり見つからない。

帰宅後、急ぎ調べてみると、どうやら、銀座大改革と名をつ
銀座街づくり会議計画に添い、通りごとに並木を選べる事になり、柳が消えたようである。

議論を、無論、重ね重ねてのことであろう。事情の知らない私には何故にが、胸にくすぶる。

古都、京で見る柳。白川川沿いの柳を思い出した。白川を渡す石橋から見る、桜が終わり梅雨前の新緑の柳である。風情を添え京の魅力を確かなものする柳である。

変化を頑なに抑えてその魅力を深める京都。日々大変貌を遂げながら進化し続け一段と魅力を増すそんな東京。

だが、 変えてはいけないものがあるのではと、事情の知らない私は、ついつい思ってしまう。

今夜は、久しぶりに、森繁久弥がその独特の節回しで歌う
銀座のスズメを聞きながら、昔の銀座を思い出しながら幸せな眠りについた。

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