一景19。 写真家の兄弟二人。

久しぶりの原宿である。

その原宿、都内最古の木造駅舎をシンボルとして、カルチャーの発信基地として若者たちの聖地であり続けている。

今は、高級ブランドショップが立ち並ぶ表参道は、1964年の東京オリンピク前後に、モダンな豪華なマンションが矢つぎ早やに建てられ、多くの文化人たちを引きつけ、ハイエンド・カルチャーの発信基地として名乗りを上げた。

その一方、ブティック竹の子で購入したファッションが「竹の子族」の由来となったとも言われる、そのショップが,その一本横の道が竹下通りとなった。

そして、今も多くの若者達を飲み込み、サブ・ヤングカルチャーを発信し続けている。

それらの通りの先,山手線を跨いだ参宮橋を越えれば、明治神宮と代々木公園へとつながる。

この橋から先の代々木公園とNHKを挟む通りが、1980年代は休日に歩行者天国となり週末には、その様が一変した。

長髪と革ジャンで決めた若者たちが、ラジカセと、エレキとドラムで大音響を響かせ、その周りを青,赤,金髪の竹の子族の女達が踊り狂っていた。

今朝,嘗ては、こうした昭和のエネルギーをめいっぱい振りまいていた若者たちに、溢れでいた参宮橋を渡り、明治神宮への参拝に行った。

その折、その参宮橋での一景である。

写真機を胸に下げてどっかりと座り込んでいる、少し、日本人離れした面構えの兄弟に出あった。彼らも、もしかすると、彼らがまだ、エネルギーの溢れていた時代を懐かしがり、出かけてきたのかもしれない。

そんな思いをさせる、気だるそうで、余りにも、様になっているその様に、カメラを向けた。

写真家が一瞬、被写体に逆転したことに戸惑いの様子を見せたが、なんと手を出し銭の催促をしたのである。しゃれ気も日本時離れ、いい歳のとり方をしている兄弟であった。

最後は、カメラ目線でのシャッターを切らせてくれた人柄の良さを感じさせる、幸せな老人である。

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