一皿23。たまご料理。

我が家の台所は心地よい。

だが、その台所は当然ながら女房の支配下にあり、食器類の洗いなど跡片付けを仰せつかる下働きの地位にいるのは、ご推察の通りである。

だが、である。

卵料理となる事情は激変する。この私が,シェフ・プリンパルになり、俄然張り切り始める。

フレンチでは、卵料理が料理の基本とか。してみれば、私は既にシェフの領域に踏み込んでいることになる。私の卵料理は御託、物語がある一皿なのです。

先ずは、オムレツである。

かの石井好子がパリの空の下歌っていた頃、淋しさを慰めてくれたオムレツ。ロシヤ貴族の伝来のレシピィーのあのオムレツである。
巴里の空の下オムレツのにおいは流る” で詳しくある。レシピィー。卵4個、バター1/8ポンドのオムレツ。

もう一つは、半熟卵である。 

昔、我が家の隣にあった精養軒と名乗るカレー ライス専門店の半熟卵の再現である。精養軒秘伝・半熟卵。煮立った湯を中火にして1分白身を固め黄身を真中に。後は沸騰させて6分茹でると絶妙な半熟卵が完成である。

そして、もう一つが、目玉焼きである。

20代。NYでの苦い経験をした目玉焼きである。1ドル360円、パンナム航空機フェアバンク経由で NYに飛ぶ時代での話である。
ホテルでの目玉焼きの注文ができない。two eggsまでは良いのだが、さて”目玉”焼きである。さて”目玉”焼き、お手上げであつた。あぁ、sunny side up、sunny side down が出てこなった卵焼きです。

どんな料理も思い出が絡むと美味しい。私の卵料理には、懐かしい幸せな思い出と旅に繋がる。

コメントはこちらから

コメントの表示が遅くなる場合がございます。