一言27。森ビルの建設現場。

完成時の姿を可視化させれば、騒がしい建設現場が立派なPRの場になる。

コロナ騒ぎが始まる前年の夏、アムステルダムの国立美術館に立ち寄った。
“館”自体は修復を終え、見違えるばかりになっていたが、今度は楽しみにしていたレンブラントの夜警が修復中であつた。

といっても、同画の展示場だけをガラスで囲い修復作業風景を見せているのである。

この修復作業は、恐らく何年もの年月を要することになるのだろう。その期間に訪れる人たちを考えての見事な配慮である。

例えてみると、レストランのオープンキッチンである。
注文した料理の調理過程が見ていれば、少々、出来が遅れても納得し、料理人の巧みな手さばきを見ていれば、さらに期待が高まるというもの。

今、麻布台が虎ノ門開発と同時に進行中である。その開発、六本木ヒルズを超える大規模都市開発。

その現場は通常の建設現場と同じように、ありきたりの白い板で囲い覆っている。

機会を得て完成時のスケッチを見る機会に恵まれて、それには、この建設現場からは想像も出来ない未来都市が広っていた。

あぁ、もったいない。
そこを通る人々に、その完成時の未来都市をなぜに見せないのだろうか。

その建設現場を行き来する人たちに、完成時の姿を可視化させる工夫をすれば、現場の雑然と周りに騒音をまき散らしている、その建設現場が、一気に夢を与えるものに一変する。

近くに住むものにとっては迷惑至極なものが、友人や知人に誇らしく語れるものになる。

それに、そこを通る人たちが現場で働く人たちに感謝とご苦労さんとの一つの挨拶もするようになる。

作業するものたちも、誇り持ち家族にもその現場を案内したりしたくにもなるというもの。

当然、完成図とともにその現状況がSNSで拡散するのは必須。

事前のPRができ、森ビルのスタッフが考えもしなかった意外なテナントが、入居を申し込しないとは限らない。商売にもつながる。

レンブランドの夜警の修復現場と同じと考えれば、復建設現場も意味あるものになる。

これこそが、知恵の出しどころである。
建設現場、完成向けての作り込む過程が、俄然ドラマとなりショータイムなのである。

老いたるマーケッターの私でも気づくことなのに、何故、森ビルの広報室は気付かないかと嘆くのである。

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