一景27。美しい鳥居。元乃隅神社。

とにもかくにも、舞台が良い神社である。

その神社は、日本海、その断崖際に建てられている。日本海の波が、空気と一緒に吹き上がる”龍宮の潮吹”が神社を襲う。
そんな、荒々しい神社である。

だが、断然美しい。

CNNが、“日本の最も美しい場所31選”の一つとして選ばれ、本州最果ての山口の地にありながら、外国人を含む多くの観光客を得ているのも、うなずける美しさがある。

おまけに、その神社は、網元の岡村家個人が白狐のお告げで建立した私的所有物。
かように、何もかもが異例尽くしの鳥居、元乃隅神社(もとのすみじんじゃ)なのである。

その神社に、機会あり、春が未だ来ぬ雪が舞そうな季節に訪れた。

日本海に鎮座するその神社には、10年かけて奉納された123基の朱色の鳥居が、龍宮から100メートル以上に渡り並んでいる。

千本鳥居の伏見稲荷大社に比べれば、123基は見劣りするが、だが、その数がよく合っている神社である。

地元の人にとっては、その123基の鳥居は、“あの鳥居、あの人が寄進した”ものだと、一基ごと解る、そんな数に違いない。

その寒さに恐れをなし、123基の鳥居を潜り、神前で頭を下げることが出来なかったが、用意された見晴らし台から、深々と頭を下げ、思いの丈をぶつけた。

皆さんも、一度機会得て、日本海が荒れくれる季節に、十分な身支度をして訪れるべき神社である。

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