一幸86。“ふふっ”と、独り笑う。

夏が始まるそんな季節に、家族で訪れたミコノス島。

その街が清潔で真っ白なのに感激した。どうやら、ミコノス島の人々は、夏の到来の前に建物を塗り直し、無垢の輝きを復元させているらしい。

最近は心が緩み、“ふふっ”と微笑み顔をほころばせる、そうした幸せな瞬間が、すっかり影を潜めている。

これと言った楽しいことも、可笑しなことも少なくなり、それに何もかも面倒になっている。

気づくと、ため息をもらし、“参った。困った。”と、声を出している。

そろそろ、我が身も心を、ミコノス島の人々に習って化粧直して、笑顔を取り戻し、残り少なった時間を楽しく過ごせねばならないようだ。

心の化粧直し。
 笑み、許す、優しさ。そうです、思いやりですね。
体の化粧直し。
 姿勢、筋力、歩幅、速度。そうです、体力ですね。

だが、どうしても直しきれない身と心は、明るい豊かな色合いの衣服で、体を覆い隠し、そして、荒んでしまった心には、満面の笑顔で覆い隠す。

そして、見かけでも、笑みの絶えない情けの深い、紳士になってみるのである。

それに、嫌なこと嫌いなことからは目をつぶり、身の回りに転がっている“ふふっ”と心身が緩む、そんな小さな幸せを見つけ出し、そんな幸せだけに、目を向け、身を晒す。

きっと、丁寧に探せば日常のちょっとしたところに、訳なく心を緩めることが出来る、そんな幸せが私の周りに転がっているのに、違いない。

そうすれば、心も身も緩み、笑顔が戻り、“ふふっ”と、笑みを浮かべることが、多くなるに違いない。

だが、どうしても、気を落ち込みため息が出る日々が続くようなら、海の見える街に向け車を走らせば良い。

そうだ、明日にも、車一人旅に出てみよう。

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