子供の頃の思い出には明るい嬉しさがある。
それだけ、子供時代の一日は豊かであった。
友人たちから、老人の冷や水と言われながらも、いよいよ、私たち夫婦の訪米が、“旅するように住み、住むように旅する”そんな段階になった。
そうなると、アメリカでの毎日も東京と同じように、それなりの日常を整えねばならない。
我が夫婦が年数か月住むことになった一つ、長男の新しい居は、子供の学校のこと、それに私たち夫婦の定期的滞在が本決まりになったことが重なり、デンバーの市内から郊外に、この春、移った。
その居は、大きな公園と中学校の校庭が重なった広大な広場の八方に、ループ状に広がりその両サイドに7、8軒の住居がある、よく映画などで見るアメリカの典型的な住宅地にある。
その居での滞在中、一先ず始めたのが東京と同じように、朝早く近くにあるBarnes&NobleBooksellers内のスタバで、数時間過ごすこと。
そうして、夕方。孫達がデイケアから帰ってきたタイミングで、家のすぐ近くの広場に、犬を連れ立って孫達と散歩することである。
そうした散歩の土曜日、この地に住む人の幸福度を測る物差しとなるような風景に出くわした。
親達が総出で応援に来ている少年野球の試合である。
恐らく、監督、コーチもいずれかの選手の親にちがいない、そんなチーム同士での試合。両サイドから一球一打に、アメリカ的陽気さに溢れる親達の声援が飛ぶ。
そうした観覧席の周りには、幼い子供達や犬が戯れ回っている。
年々遠のいていく、目をかがやしていた我が少年時代を、ふっと、妙に懐かしく思い出した。
明るい嬉しさに満ちていた校庭で、友と遊んでいた幼い時代の思い出に繋がる、そんな幸せな散歩となった。
晴天好日。
デンバーでの一日の穏やかな過ごし方である。
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