一幸89。散歩事情 in サンフランシスコ。

下の息子は子供が生まれるのを機に、モスビーチ沿いの小高い丘の上に、陽光のサンマテオから居を移した。

我ら夫婦は、この地で、長男が住むデンバーと交互に、年数か月過ごすことになる。

このモスビーチは、夏でもサンフランシスコ特有の霧が降りる夕べには、暖炉で暖をとるほどに冷え込む。

だが、霧が晴れれば半袖とはいかないまでも、気持ち良い日差しのもとでの散歩が楽しめる。

その滞在中の楽しみの一つが、息子夫婦が飼う柴犬クロエと連れ立って、数時間歩いても途切れることのない海岸線沿いを散歩することである。

海好きの私は、気が向くと、穏やか砂浜が連なる湘南海岸沿いの国道134号線を、茅ヶ崎から江ノ島を超え、逗子のカフェ“なぎさ橋珈琲”まで車を走らせている。

だが、モスビーチ沿いに伸びる散歩道は、穏やかな湘南海岸道とは違い、寒流に荒れる波が岸壁を穿つ、太平洋沿いに伸びる道である。


その道での散歩では、沖合いには潮を吹くクジラが姿を現し、砂浜には海豹が日向ぼっこする姿が見られるほど、自然に溢れる散歩道である。

もう一つの散歩道は、住居から少し丘を上がる道がある。

その道を上がり切ると、牧場を抱えた住居が数軒、点在する。その住居はファームハウス(牛、馬などを飼うことが許される住宅地にある)で、散歩で出会うお隣さんとは、羊や馬を横目に挨拶を交わす。

さらには、その丘を下る散歩道の途中には、太平洋を見下ろすように、坂道の途中の小高い丘の上に、どこか落ち着かない感じで建っている住居が目に入る。

海、砂浜、岸壁、丘、牧場。
何と、豊かな自然を取り込んだ住宅地であろうか!

「人が主役」の都心に住む私には、この地の「自然が主役」の散歩道には、圧倒されどうしである。

人と自然。
自然が良いと選択をした息子の住居で、これから、年に数か月滞在することになった。

豊かな自然溢れるなかでの滞在を、なし崩しに過ごすにはもったいない。
そこでの生活に馴染み、精一杯自然に溢れる中で過ごす、そんな幸せを満悦したいものだと思っている。

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