奈良盆地、三輪山麓から春日山のふもとまでを結ぶ35キロメートルの道。
この道が、有史以前から道として機能していた日本最古の道
山辺の道である。

ヤマト王権は、その道沿いに発祥。
山辺の道は、日本人の心のふるさと、心癒やされる原風景に満ち溢れている道である。
永六輔は、“遠くへ行きたい”で、英語を借りて旅を次の4つに分け、彼が好きな旅はjourneyだと言っていた。


Trip 気分転換の小旅行
Tour 目的地に向かう団体旅行
Travel 全て行程が決まっている旅
Journey 予定も決めず気まま自由に出かける旅
そうして、出かける目的は、“風景でも食べ物でもなく、人との出会いを求めて旅をしたくなる”と言っている。
私の旅も、やはりJourney。
だが、夜の一杯がついた“道の旅”である。
私の旅は、ぼんやりと旅の最終地点をイメージして、それに至る道を旅し、道すがら宿をとる。
そうして、その夜は、地元の人たちが通う酒場を見つけ、彼らと酒を共にする。
今回の旅は、旅人の聖地山辺の道を目指した旅。
いにしえの香りを身一杯に浴び、その後、一気に荒れ狂う日本海に抜ける。
そんなイメージを描きながら車を走らせる旅であった。

だが、私の旅は、どうにかすると、車が勝手に導く。
車一人旅にはつきものの予測のつかない展開、その楽しさを大切にする。
今回の旅も、開けはなった車窓からの風に潮の香りを感じた、その瞬時に、その魅惑に引き込まれ、海好きの私、まっしぐら海に向け走り出していた。
我が信条は行雲流水。
旅においても、その正体があちこちと顔出す。

空ゆく雲や流れる水のように、物ごとに執着することなく自然の成り行きに任せて行動する。
正に、
初めより定まれる質なし。まさに行くべきところに
於いて行き、止まるべきからざる所に於いて止まる。
である。
それにしても、さて、何時の日に、道の旅の原風景ともいうべき、山辺の道を心ゆくまで歩く、そんな日がいつ訪れるのだろうか。
いっそのこと、JTBの奈良周遊tourのtravelに組み込まれてみる。それが良いかもしれないと、一瞬頭を横切る始末である。
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