一幸91。アメリカン・プレイリードッグ。

デンバーの1日もスタバの一杯から始まる。
だが、Barns and Noble併設のスターバックスは9時開店である。

  That first sip feeling.
  Let us add a little joy to your day.

 あなたの1日に、小さな喜びを忍び込ます最初の一口。

ふたりの孫たちの元気良い朝の挨拶と騒ぎから、当然デンバーの朝は早起きとなる。
元気な二人をデイケアに送り届けたその足で、スタバに行くが
少し早すぎる。

このアメリカでは、日々の買い物も食事も車のお世話になる徹底した車社会。
スタバにいくにも5分とかからないが、車がいる。
意識しないと、一日、数十メートル歩くのがやっとの一日。

息子夫婦は暇をみては、10km近く平気で走り込んでいる。
どうやら、この秋のマラソン大会に備えているらしい。
さすがに、その走りのお供は、ご勘弁願っている。

そこで始めたのが、スタバの前に広がる湖の一周2kmのウォーキング。これで、運動不足が少し解消され、旅先の日常にハリとリズムが出てきた。

こうして、決まった時間に決まった道を散歩していると、同じように引退したご同僚たちを見かかけるようになる。

“やぁ、お互い頑張っていますね”と、笑顔を交わすほどになるのに、さほどの時間もかからない。

この湖の散歩道には、いろいろとアメリカらしさが転がっている。

湖の周りにまでは、まだ、住宅街が伸びてきていないが、小綺麗な老人ホームが、日当たりの良い場所を占めている。

そこを過ぎた先には、広大な公園、子供たちのプレーグラウンド、図書館、野球とサッカーの球場と、あの銃乱射事件で有名になった名門コロバイン高校がある。

それに、人手が入っていない原野も残されており、その原野には、アメリカンプレイリードッグが何十匹とひょうきんな姿で、散歩する我らを迎えてくれる。

多くの散歩人は、犬をお伴である。
よく見るとお友の筈の犬が元気で、ご主人の人間様を引きずっての散歩となっている。

そうした犬どもの糞をすてる場所と糞処理用の袋を用意したポールが一定間隔で立っている。

アメリカらしい合理的な気配り。

散歩が過ぎて疲れた老人たちが身体を休めるベンチも、程良いタイミングで置かれている。
そのベンチには、寄贈者の名前プレートが添えられている。

きっと、この散歩道にお世話になった親たちの感謝の印として、親の思い出を込めて家族が寄贈したに違いない。

こうした、実にアメリカらしい散歩道を、旅人である私たち夫婦が、毎朝、歩いている。

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