一旅26。旅先の朝食。その2。

旅での食事は、日常からはみ出したものとなる。

そのはみ出しかたが大きいほど、旅している実感が大きく、その記憶が鮮明となる。
特に、旅先の朝食は大切である。

旅の中で飛び抜けた出会いをした朝食を並べてみる。

ネパール、ポカラ。
フェワ湖畔のホテルでの朝食。

知人のネパール人シェルパが、総勢10人を超えるパーティーを組んでくれた。ヒラヤマの展望台とされるサラコットへの家族4人での数日のトレッキングである。

その前日、マチプチャレ峰を中心とする迫力あるヒマラヤ山脈が望めるフェワ湖畔に面したホテルに宿をとった。

その朝が実に良い。
登山に出かけるその早朝、ドアをノックする音に起こされドアを開ける。

    “Good Morning, Sir! Mountain‘s view is clear!”
バトラーの朝の挨拶と同時に、朝食ワゴンが部屋に運び込まれる。彩り豊かな朝食が,アッサムティーと共にテーブルに並べられた。

ケニア、マサイ・マラ
この飛び抜けかたはすごい。

ライオン、象、カバ、キリンと野生動物が棲息している公園内に快適なリゾートホテルがある。

当然、昼間はジープを仕立てて公園内の動物たちとマサイ族の住居などを見て回るお上りさんのお手軽な観光を楽しむ。

だが、圧巻は、まだ夜の帳が上がりきれない早朝、朝霧で煙るサバンナを群れで走る草食動物種インパルを気球から見ながらの空中散歩である。

朝焼けがサバンナを照らし始めると、バルーンは樹木の少ない草原に降りた。

先回りして用意された真っ白い清潔なテーブルクロスが、ピッチリかかったロングテーブルが私たちを待っている。

見事な驚きの演出である。
バルーン同乗者たちと冷やされたシャンパンで乾杯し、賑なおしゃべりでの朝食となる。

アメリカ、サンフランシスコ。
息子夫婦がSF国際空港から、20マイル30分のとこに新居を構えた。

その新居から10分のところに、懐かしいゴルフ場、ハーフムーン・ゴルフリンクスがある。現役時代、仕事仲間と空港から、何度か直行したゴルフ場である。

一流コースにすっかり様変わりしており、当時の面影が微かに残るだけ。
そのゴルフ場の海を展望できるカフェテラスで朝食をとった。

これからは、年数度の渡米時、週一度のベースでプレーとカフェを楽しむことになる、そんなカフェでの朝食である。

こんな日常から飛び抜けた朝から、始まる私の旅先の一日。
私の旅には、はみ出しかたが大きい朝が待ち構えている。

日常に飽きた心は、こんな朝の思い出に還っていく。

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