一幸94。寿司源。

長い付き合いの寿司源の行末が、怪しくなった。
出店している帝国ホテルの建替えが、本決まりしたようだ。

昨夜、その寿司源に、誕生祝いで久しぶりに出かけた。

私たちの前で決まって握るのは、冗談混じりの会話が絶えない小池さん。思えば、その彼との付き合いも40年と長い。

犬をお供して、散歩の途中に立ち寄った折など、入り口に控えの間(その当時はあった)に犬を閉じ込め、私たち二人をカウンター席に案内してくれた。

そんな融通をこっそりしてくれた彼であった。

それ以来、息子達、長男と次男が加わり、彼らのアメリカ育ちの奥さんたち、そうして長男の孫と、家族が増えるごとに訪れる、そんな付き合いの店である。

寿司は、素材の魚の切り身が客の前に晒され、それを料理する人との距離がない食べもの。その素材を美味しくするかなりの部分が、握る人に委ねられる。

    笑顔を消し、仕事顔で握る。
    素材を一味違うものに仕上げして、私の前におく。
    それを頬張り、笑顔を戻す。

私と彼とのそうしたやり取りが、息子や奥さんたちにも伝わり居心地の良い店になっているようだ。

このコロナ騒ぎで、長男のもう一人の孫は握ってもらう機会を、まだ得ていない。それに、この12月に誕生する次男の孫も、である。

さぁ、急がねば、まごまご(孫孫)して居ては、三人の孫と一緒で寿司をつまむ楽しみを失いそうである。

後記
小池さんは既に引退。彼と妻とは映画好き同士ですっかり気が合い、引退した今もメールのやりとりがある様で、この日は特別に出て握ってくれた。

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