一旅29。京での三社詣。大晦日編。

大晦日を京の街で過ごすとなると、京都の年越し風物詩、白朮祭(をけらさい)の八坂神社を外す訳には行かない。

大晦日の三社詣、八坂神社を中心に組み立てる。

まだ、日が高い。
白朮祭は、夕陽が沈み、大晦日の賑いが始まる7時を過ぎるあたりからである。

三社詣、大晦日編。
宿から歩いて行ける平安神宮から始めることにした。

高さ25m近い、色鮮やかな朱色の大鳥居を潜り、境内を抜け、正月の準備で忙しい作業服の人夫たちで埋まった神殿に向う。

“新年の挨拶が1日早くなった”との言い訳を前置きに、無事、詣を終える。

当然ながら、人影まだらな神苑。
入口すぐの右手に、右に左にとよじれ枝を広げている紅しだれ桜が、狙いである。

“みごとな神苑をいろどる、紅しだれ桜の群れである。
咲き満ちた紅しだれ桜の花の色が、胸の底にまで咲き満ちて、ああ、今年も京の春に会えた。“

川端康成「古都」の語りで、枯れた枝が、花の重みで垂れる
紅しだれ桜群となる様を、頭の中でなぞってみる。

茶室の先の池に向う。

 私も、“真一”と“千重子”の飛び石の沢渡りを、と思うが、冬支度の厚着に、敏捷さを無くした身、池ふちを選び無事歩き抜き、早々に神宮を後にした。

次に目指すは、今年の干支兎のウサギ神社、岡崎神社
神宮の裏に出て、ぶらぶら歩きの15分程でたどり着く。

かつて、神社付近一帯が野兎の生息地であったことから、うさぎを神様の使いと伝えと、兎が氏神様の神社。

お守り、絵馬と、ウサギをモチーフにした授与品が数々あり、境内はウサギで埋め尽くしている。

明日、元旦は、とんでもない混み具合となる違いない。

さて、いよいよ、大晦日三社詣での最後の神社、八坂神社。
だが、八坂神社は、直線距離で3km10分程度先である。
3時を少し回ってはいるが、十分な時間がある。

評判の東山沿いの散歩道を、永観堂と南禅寺、そのついでに天寿庵(休庭)、その後、青蓮院、知恩院を経て、八坂神社とぶらぶら歩きで向かった。

未だ、陽が沈まないこの時間ながら、どうやら混雑を見越して、大勢の人が出始めていた。晴天に恵まれた今年の大晦日。

予想をはるかに越える人で、神社が埋め尽くされそうである。

諦めの早い我ら夫婦、円山公園の裏庭から、そっと、頭を下げ手を打ち挨拶を済ませ、三社詣、大晦日編を終えた。

大晦日の祇園の街、その人混みに紛れ込み今宵の店にと急ぐ。

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