黄色の信号で止まるか。それとも、走り抜けるか。
私は、後走車の苛立ちの気配を感じながらも、止まるようになった。

アメリカ、デンバーで早朝散歩していた折、私たち夫婦が横断道路に近づいたタイミングで、はるか先の車が徐行し始め、私たちが横断し終わるのを待つ。

例え、スポーツカーで飛ばしている若者ですら、こうしたマナーをごく自然に守る。
日本での事情は、ご存知の通りである。
横断歩道に足を踏み入っているにも拘らず、体スレスレに車が、それほどスピードを落とさずに、すり抜けて行く。
高速道路では、追い越し車線を低速で走る車が意固地でも譲らない。なんとも意地悪な車である。

嘗て、ドイツからアムスまで、アウトバーンを友の運転するアウディクワトロで高速で飛ばしていた折、すべの車が気持ちよく、高速レーンを譲ってくれていたことを、思い出す。
だが、海外の交通事情もいろいろだ。

少し昔のことだが、タイでの3車線の道路は混雑にまみれて、いつしか4、5車線になっていた。

エジブトでは、大人たちに混じって子供たちが、8車線の横断歩道のない道路を車を縫って、ものの見事に通り抜けていた。
こうした様と日本での事情とが重なり、やはり、我が国はまだまだ、“車文化”の後進国とため息が出る。
それに、日本での交通違反での対応が、すっきりしない。
イギリスでの違反車には情実も判断も入らない。
走行車線違反の切符が、レンタルカー社を経由して、なんと三通も帰国後、届けられたことがある。
空いていたレーンを、これ幸と走らせたが、それがバス専用レーンだったようだ。
そう言えば、シンガポール政府からも違反切符が、これも、やはりレンターカーオフイス経由で届けられた。
市中の混雑を避けるため、車プレートの番号の奇数偶数で、都心への走行可能な日が決まっていたのである。

それに、お隣の国、韓国の駐車違反車も、交通監視カメラで違反車を漏れなく、情実の入る余地もなく、自動的に、しかも手際良く取り締まるとか。
そうした国々での違反車処理と比べると、日本での取り締まりが、少しおかしく見えてくる。

スピードの違反車をパトカーが追いかけ、スピード違反であることを、口頭で述べ切符を切る。
違反車は、身に覚えがあるだけに、走行スピードの記録を確かめることなく、納得する。
だが、同じスピード走行していた幾台かの車を、ふと目に浮かべ我が身の不運を嘆く。

それに、駐車違反車には、駐車監視官、仮称ミドリムシが巡回しながら、違反車を探しチケットを発行している。

左様に、取り締まりパトカーに見つからないスピード違反、それに、ミドリムシの目の届かない駐車違反車は、罰金から逃れる。
そこで、やられた人は、“あぁ、今日はついていなかった”と、ため息を出すのである。
何と、日本の曖昧な交通違反取り締まりであろうか。
日本という国は、“かようさよう”に穏やかで人の良い国。日本人であることの幸せを心奥から、感じるのである。
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