昨今、やけに、食べ歩きのTV番組が多い。
タレントたちが口いっぱいにし、驚きの表情で頷き手を叩き、大声で“オイシイ、おいしい、美味しい”を連発する。
放映される料理は、スタッフが念入り調査した店の一皿、“おいしい”に違いない。
味は、言葉の数だけあると言うもの。
美味しいだけでは、TV視聴者には分からない。タレントはその料理の美味しさの正体を伝える、役割がある。
確かに、言葉が舌に追いついていけないのも事実。
日頃から、言葉のストックを持っていないと、的確な言葉がスッとは口をついて出ない。
その点、ワインは、色、香り、味わい、余韻、後味などを表現する決まり言葉があり、ワインの魅力を表現する。これをなぞってみるのも、良い手かもしれない。
仮に、それになぞって、ハンバーグを食べたシーンを再現してみる。
先ずは、見た目でその料理を伝える。
“ボリュームたっぷりだぁ。これは、食べごたえありそうだ”。
そうして、口にする寸前、匂いが鼻をくすぐる。
“あぁ、この匂い食欲をそそりますね。”
次は、噛みごたえ、食感である。
“玉ねぎが生きている。シャキシャキ感が良いですね。”
いよいよ、舌の登場。
“肉汁たっぷり。口の中で脂が溶け出す。でも、さっぱりして美味しい”。
最後に、これが肝心、作り手に喜びの表情で感謝を伝える。
“味にうるさい友を連れて、また寄らせて頂きます。ご馳走さんでした。”
だが、これもどうも多弁で、理屈ポック的でいけない。
五感を総動員して、おいしく楽しく食べる。
“うん、こりゃ〜旨い。ありがとう。”
これが、やはり良いようである。
日頃から、丁寧に食べる習慣を身に付ければ、隠れた味にも気付き、料理が更に美味しく旨くなり、料理を挟んで会話が生まれるというもの。
コメントはこちらから