見事な夕陽に出会った。
ジムでの軽いトレーニングを終えての帰り道、夕陽の柔らかい光が、大樹の残り少なくなった葉間から洩れ、私の長い影を道に作っている。
“あぁ、明日はゴルフをしよう。”
と、そんな幸せな夕陽を背に浴びながら決めた。
私のゴルフライフも、今は、気まぐれ。友としめしあわせてのゴルフは少なくなり、今、“約束しない”ゴルフとなっている。
行きつけの店の隅っこのカウンター席で、独酌を楽しむように、ゴルフも、気が向いた日に一人で出かける。酒もゴルフも一人を楽しむことが、多くなってきた。
そんな日のゴルフでは、顔は同行者にちゃんと向けられているが、心はそこにはない。気づくと、ボールからもフェアウエイからも離れ、空に、樹木、草木に向けられている。日頃、見落としていた風景に気が向く。
この季節、フェアウエイは枯芝に覆われている。その枯芝は、新しい芝の芽を寒さから守り、春先にはその役割を終えて、春風に乗って静かに退場する、そんな枯芝である。
そんな枯芝が深くエグリ取られ、地肌を見せているデボットを目にする。プレーに夢中になり、修理をするのをついつい忘れたのであろう。そんな日の私は、その無残な穴の土盛りを、いつもになく丁寧さでやってのけている。
私の深層に沈んでいる自分の今を、その芝に投影して、痛々しその姿を愛しい思いがそうさせるに違いない。
そうして、夕闇が迫ってフェアウエイのプレーヤーも消えた18番ホールのフェアウエイに、夕陽が長い影を作る。自然がつくる傑作を、風呂上がりに、一人逃げ出し、クラブのテラスから独り占めする。
約束しない一人ゴルフがそっとくれる贅沢。そんな幸せを独り占めする。そんな一人ゴルフを今は楽しんでいる。
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